JIS2004対応MSフォントについて
Windows Vistaの発売に伴い、マイクロソフト社は付属フォントの仕様を変更しました。
これに伴って起こりうる問題と、その対応についてご説明致します。
「MS明朝」「MSゴシック」がJIS2004対応に
Windows Vistaでは、標準フォントの「MS明朝」「MSゴシック」(以下「MSフォント」)に対して、以下の変更が加えられています。
- 文字数が大幅に追加された(1500文字以上)
- 一部の文字で字体が変更された(122文字以上)
これらは『JIS2004(JIS X 0213: 2004)』という新しい文字セットに対応するための措置ですが、内容が変わってもフォント名そのものは変更されていません。従って、アプリケーションに互換性があれば、Windows Vista環境で作成したデータを従来の環境(Windows XP以前)との間で相互にやりとりすることができます。
しかし、このことが逆に重大なトラブルを引き起こしかねない要因となってしまいました。
トラブル事例1:文字化けの発生
Windows Vista付属のMSフォント(以下「JIS2004フォント」)で作成したWordデータを、Windows XP付属のMSフォント(以下「JIS90フォント」)で開いた一例ですが、ご覧のように一部の文字が化けたり、他のフォントに置き換わってしまっています。
JIS2004フォントにしか存在しない文字は、JIS90フォントでは表示できないために、このような現象が発生してしまうのです。
トラブル事例2:字体の変化
上の例では、JIS2004フォントとJIS90フォントとで、表示される字体が異なっていることがおわかりいただけるかと思います。
JIS2004では「国語施策として示されている印刷標準字体」に対応するために、168の文字で字体が変更されました。
今までは外字を使って対応せざるを得なかった正字が標準で使えるようになったという利点もありますが、一方でこのように予期しない字体の変化が起こってしまう原因にもなっています。
Vista/XP対応のJIS2004/JIS90フォントパッケージ
またマイクロソフト社は、Windows VistaとWindows XP間で作業環境の統一化が図れるよう、以下のフォントを公開しました。
- Windows XP(SP2)向け JIS2004 フォントパッケージ
- Windows Vista向け JIS90 フォントパッケージ
これらのフォントは同社のウェブサイトからダウンロードすることができます。つまり、VistaとXP、両方のOSでJIS2004/JIS90フォントを自由に選択して使えることになったわけで、さらなる混乱が予想されます。
そして、どちらのフォントを使って作成されたデータなのかを、データのみから判断することは、基本的に不可能です。
つまりトラブルを未然に防ぐためには、データご入稿の際に、使用しているOSのバージョンだけではなくそのOS上で使用しているMSフォントのバージョンも併せてお伝えいただく必要があります。
フォントのバージョン確認方法
ご自身の環境にどちらのフォントがインストールされているかは、次の方法で確認することができます。
- [スタート]メニューから[コントロールパネル]→[フォント]をダブルクリックします。
- フォントの一覧が表示されるので、「MS明朝 & MS P明朝」あるいは「MSゴシック & MS Pゴシック & MS UI Gothic」をダブルクリックします。
- 左上に表示されるバージョンを確認します。
なおご覧のように、Windows XPの従来環境(Version 2.3x)と、Windows VistaにJIS90フォントパッケージをインストールした環境(Version 2.50)のバージョンは同じではなく、実際の収録文字数にもかなりの違いがあります。従って字体の変化こそ起こらなくはなりますが、厳密な意味での互換性はないことになります。
トラブルを避けるために
このように、作業環境・処理環境におけるフォントのバージョンの統一は、印刷トラブルを未然に防ぐ意味でも非常に重要となっています。
以上の点をご理解いただき、弊社へのデータご入稿の際にはフォントのバージョンも含めた作業環境を正確にお知らせくださいますよう、なにとぞご協力のほどよろしくお願い致します。