金・銀インキを使用する場合の注意点
金銀のインキは着色剤として金属粉を用いている関係から、インキの特性も他の色のインキとは大きく異なります。不透明色であることから色が掛け合わされる箇所では下地の色を覆い隠し、また、もう一方のインキの印刷結果に悪影響を与える場合もあり、インキの特性を理解していないと思いがけない印刷トラブルに繋がってしまいます。
オーバープリント指定
金銀インキが不透明インキである理由から、DTPデータ制作では金銀インキと他の色とのあいだではすべてオーバープリントなし(ヌキ)に設定することが基本的な考え方となります。しかし、印刷する用紙や、諸条件によっては印刷時に見当を完全にあわせることが難しく、輪郭部に白フチが出てしまうことがあります。特に細い画線部では目立つこともあって、絵柄に応じた適切な判断が必要となります。
※オーバープリントについて詳しくは「オーバープリント」をご覧ください。
刷り順による印刷結果の違いなど
不透明インキである金銀を先に印刷しておけば問題がないかというと、そう簡単なわけではありません。印刷機を1回通すだけで瞬時に複数の色を続けて印刷できる多色刷印刷機の場合、先に刷られた金銀インキが完全に乾かないまま次のインキが刷り重ねられると、インキ量が100%完全には転移しないため、刷り重ねられる色は十分な印刷濃度を得ることができない場合があります。
金銀インキが十分に乾燥した後に、2回目の通しで別の色を印刷するのであれば、この問題はある程度改善されますが工数が増えるデメリットがあります。またこの場合でも下地の色に影響されることに違いはなく、スミ刷り以外の場合は発色への影響を見極めておく必要があります。
特に色校正では時間を掛けて版を刷り重ねていくことが多く、多色刷印刷機による本刷りとは印刷結果が大きく異なってしまうこともあります。間違いのない確認をするには印刷条件をそろえておくなど事前の注意が必要です。
事前にご相談ください
以上のように、金銀インキを使った印刷物は印刷条件、DTPデータの設定によっては意図しない印刷結果になることがあります。当社では印刷仕様や納期、その他のご希望を元に適切なアドバイスをさせていただきます。ご不明な点がありましたらどうぞお気軽にお問い合わせください。
金・銀インキを鮮やかに見せるTips
金・銀インキを使用する際、金インキの下地にはイエローの平網、銀インキの下地にはスミの平網を引くことで、より金・銀を鮮やかに見せることができます。
※図はイメージであり、実際の発色とは異なります。