Mac用フォントファイルの破損について
Macで使用する「Type1 フォント」のファイルは、Windowsでファイルコピーなどをすると破損してしまうことがあります。
特に最近オンラインデータ送稿が増えていますが、フォントファイルが破損しているケースが多くありますので、その原因と対策を説明します。
なぜフォントファイルが破損するのか
Mac OS9時代のファイル構造
Mac OS9のファイルは、大まかに言うと「リソースフォーク」と「データフォーク」から出来ています。多くのファイルはデータフォークにメインの情報が含まれていて、リソースフォークにはアイコンなどの付加情報の類が含まれています。
しかしこの構造はMac固有の構造のため、Windowsを含むMac OS以外のOSにはリソースフォークというものがありません。よって、MacのファイルがWindowsなどでコピー等されると、リソースフォークが欠落してファイルのアイコンがなくなるなどの現象が発生してしまいます。
▼一般的なMacのデータ
Type1フォントのリソースフォークの欠落
Mac用のType1フォントなどは前述と異なり、フォント情報の大部分がリソースフォークに含まれています。そのため、データコピー等でMac OS以外のOSを経由などすると、リソースフォークが欠落し、フォントとしての情報を持たないデータ容量が[0KB]のファイルになってしまいます。つまり、フォントファイルの破損、ということになってしまいます。
▼Mac用Type1フォント
その点、Mac OSX以降に採用されたOpenTypeフォントや一部のTrueTypeフォントは、フォント情報がデータフォークに格納されたファイル構造となっているため、Windows等を経由してもファイルは破損しません。
よくあるファイル破損のケース
リソースフォークの欠落によりデータファイルが破損してしまう場面として、実際によくあるケースを挙げてみます。
①Mac以外でのPCを使い、オンラインでファイル転送を行う場合(アップロード・ダウンロード時)
アップロード時、ファイルを一時的にデスクトップに準備(コピー)した時点で破損してしまう。
もしくはダウンロード時、オンラインストレージサービスの機能やブラウザの設定で、ダウンロードした圧縮ファイルを自動解凍できるものもありますが、ダウンロードした時点で解凍され、気づかないうちにファイルを破損させてしまうこともあるので注意が必要です。
▼WindowsでMacの圧縮ファイルを解凍した状態。
Windowsでは認識されないフォルダが現れ、Type1フォントは破損してしまいます
②Macで作成・データコピーしたCD-RやUSBなどのメディアからWindowsでデータコピーする
データ制作者からメディアで受け取ったデータを、Windowsを使用してデータコピーを行うなどすると、コピーした時点でファイルが破損してしまうことがあります
③Macで圧縮したファイルをWindowsで解凍する
①と同様に解凍時に破損してしまいます。再度圧縮しても壊れたファイルは元には戻りません。
まとめ
データ送稿の中継をされる方はWindowsを使用していることが多いのではないかと思います。また以前に比べ、WindowsでDTP作業をすることも普通になりました。MacのデータをMacのみで受け渡しすることを検討するよりも、どんなことをすると壊れてしまうのかを理解することと、異なるOSをまたいでもを壊れにくいデータを作成することが現実的かと思います。
動作としてはとても単純なことですが、下記は現実的かつ効果の高い対策となると思います。
①MacのデータはMacで圧縮したファイルを渡し、Macで解凍する
圧縮した状態であれば、Mac OS以外のOSを経由してもリソースフォークの破損はありません。そのためMacデータ送稿する際はデータ制作環境で圧縮し、解凍もMacで行いましょう。
②OpenTypeフォントを使用する
OpenTypeフォントはMacとWindows 間のクロスプラットフォームを実現したフォントですので、Windowsを経由したからフォントが破損した、などということがないので安心です。