
前回に引き続き、印刷部の七つ道具をみていきましょう。七つ道具というからにはぜひ七個挙がってほしいところですが、無事コンプリートなるのでしょうか……?
後半戦!
インタビュアー(以下「イ」):さて、引き続き道具のご紹介をお願いします。次が五つ目になりますね!
印刷部員A(以下「A」):五つ目は……ついに厳しくなってきたな……
印刷部員C(以下「C」):工具箱じゃないですか? 実際よく使ってますから。
A:そうだ、工具箱か! これはちょっと倉庫にあるので、ついてきてください。
……
A:これです。

イ:おお、工具箱はホームセンターなんかでもよく目にしますけど、これはかなり充実していますね! どの道具をとっても形状・サイズがさまざまです。
A:ちなみにもう一段あります。

A:どれも機械のメンテナンスの際によく使いますね。点検しないといけない部分や部品はだいたい機械の内部にあるので、まずねじやボルトをゆるめて外部のカバーを外す作業が絶対に発生するんですよ。もちろん点検が終わればまたカバーをつけて締めなおします。
イ:実際の使い方としては、工具箱はここに置いて、修理の時に必要なものだけ持っていく感じですか?
A:いや、修理作業があれば箱ごとガバッと持っていくことが多いかな。その方が便利ですし。
六つ目は……?
(倉庫から戻ってきたところ……)
C:あ、お二人がいない間にBさんと6つ目はゲージっていうことで決めておいたので。今Bさんが探しにいってますよ。
印刷部員B(以下「B」):持ってきました。これでいいのかな。
C:あ、こっちのゲージか。確かにこれもありかな。
イ:こっちのゲージというと?
A:なるほど……じゃああっちのゲージもとってきましょう!
B:とりあえずこっちのゲージですけど、紙厚を測るゲージです。

B:これで紙を挟むと、紙の厚さが目盛りに出るんですよ。これがあれば封を切った後の紙でもすぐに調べられるから重宝しますね。印刷機ごとに一個、かならず常備しています。
C:こんな感じで持って使うんですよ。試しに何か測ってみます?

イ:ちょうどわたしがメモに使っているノートがあるのでお願いします。……ええと、1目盛りが0.01mmだから……なるほど、0.09mmですね!
七つ目は……?
A:あっちのゲージ持ってきました。どうぞ。
C:そうそう、これは被膜を測るゲージです。

イ:ヒマク……? 不勉強で申し訳ないのですが、教えてください!
C:インキの被膜のことですね。もちろん印刷機はインキローラー→版銅→ブランケット胴→紙の順にインキを転写して印刷するのだけれど、はじめのインキローラーに適正な厚さのインキが張られていないとデータ通りの色で刷ることができません。このローラーに張られているインキの状態を被膜といって、この被膜の厚さを測るのがこのゲージです。

B:このゲージをインキローラーに沿って回転させて、被膜の厚さを測定します。被膜の厚さは0.05mmが適正といわれていますね。
C:ちなみに、うちだとこれはKOMORI CORPORATION製の印刷機にのみ使っていますね。これで七つそろったなあ、よかった……。
―――
イ:それでは、最後に何か道具全般について気になっていることとか、印象深いことなどがありましたらお願いします!
C:うーん、うちだとみんな道具の貸し借りをよくやっているのをよく目にしますよね。「ちょっと○○貸してくれる~?」みたいに。けっこう気軽にお願いできる雰囲気があります。
A:あとは……これはちょっと違う話かもしれないけれど、「使った道具はもとの場所に戻す」っていうのはことあるごとに呼び掛けています。五つ目の工具箱なんかまさにそう。もちろん当たり前のことですけども。
B:なくなったら最後、もう見つからなかったりしますもんね。気を付けないと。
イ:なるほど……本日はありがとうございました!
A・B・C:ありがとうございました!
まとめ
印刷部の七つ道具、無事そろいました! いくつか印刷会社ならではの道具があった一方、ほかの会社でよく見る道具でもちょっと違った使い方をしているなど、いろいろ新しい発見がありましたね。印刷部には印刷機を回す以外にもさまざまな細かい作業があるのはもちろんですが、こうして道具を見ていくと作業一つ一つのイメージの解像度が上がっていくのではないでしょうか。
こうなると、印刷部以外にも製版部、製本部、制作部など他の部署の道具も気になってきますね……。こちらも近いうちに取り上げていきますので、ぜひご期待ください!