5.機材を準備する

更新日 2025/01/15

イベント規模やプログラムによって必要な配信専用の機材やカメラなどを準備していくのは主に配信会社になるかと思います。ここでは各機器の解説は最低限にとどめ、トラブルが起きやすい機材をテーマにして解説していきます。

必要な主な機材

ハイブリッド配信に必要な主な機材の種類は以下となります。

配信会社がこれらの機材をすべて準備することもありますが、実際は主催・運営側でPCを用意したり、会場にある設備を併用したりして機材を組み合わせていきます。 カメラやスイッチャーなどの専門機器は配信会社に適宜準備を依頼します。

カメラ:捉えたい角度(アングル)の数だけ台数が必要です。

映像スイッチャー:映像を切り替えたりする機器。1つの配信に1台は最低必要です。

PC:配信を行うPC、スライド資料のためのPC、イベント規模によっては複数台必要な場合もあります。

プロジェクター/スクリーン:会場に常設されていることが多く持ち込むことは稀。

マイク/音響ミキサー/スピーカー:設備は会場によってまちまち。ハイブリッド配信ができる設備かどうかはロケハンを行って明確にしておきます。マイクが何本必要かも決めておきましょう(6.音響についてもご参照ください)。

簡易照明:基本は会場の照明でまかなえますが、特別にライティングが必要な場合には準備します。

モニタ:返しモニタが必要な場合に使用することがあります。

配信用PCを用意するときの注意点

機材準備で特に気を付けたいのは、「配信用PCを準備する」場合です。ハイブリッド配信では、カメラで写した映像をスイッチャーに取り込み、スライド資料などと一緒にレイアウトされた映像とミキサーから調整された音声を配信用PCに取り込んで映像と音声を配信します。
よって、配信用PCはある程度のパワー(処理スペック)のあるPCが必要です。「パワーのある」とは、ある程度の重いデータを処理できるスペックを持つ、という意味なのですが、このデータの重さ(負荷のかかり具合)というのもイベントの内容により変動します。ここはプロでもなかなか見極めが難しいところでもあります。

PC内部でどのように負荷がかかっているか、どのタイミングで負荷が重くなるかはなかなか判断がしにくいところです。トラブルの回避策としては、本番で使用する機材でなるべく本番に近い状態でテスト配信を行っておくことに尽きます。「本番と同じ機材で」というところが大事です。単に同じ機種のPCでは、スペックが同じでも入っているソフトやOSのバージョンが違う場合もあるからです。

セキュリティソフトがPCに重い負荷をかけている場合もあります。PCの元々のスペック数値で、ある程度は想定できますが入っているソフトの数やバージョン、ソフトの種類にも依存するので判断の難しいところです。
対策としては、トラブルが起きたときのための代替PCも準備することです。予備のPCでもテストしておくことをおすすめします。

資料投影用PCの確認ポイントは4つ

1.登壇者のスライドや動画を表示・投影するためのPCでも予想外のトラブル発生が考えられます。本番で使うPCを配信機器と実際につないだ上で、プロジェクター投影や配信のテストは必ず行いましょう。

2.PowerPointやPDFのスライド資料を使うことが多いかと思いますが、動画を再生するイベントも増えています。動画の場合は映像と共に音声が会場と配信側で問題なく聞こえているかを事前に確認します。

3.動画音声の大きさも事前に確認しておきたいポイントです。これも本番で流す動画で行いましょう。先日もリハーサル時に正しくつないでいるのに、PCと機材の相性のためでしょうか、どうしても音声が出ないことがありました。事前のテストは大事だなと感じました。

4.PowerPointなどのoffice系ソフトで作成されたスライド資料は他のPCにコピーするとレイアウトが崩れたり書体が置き換わったりすることがあります。原因はPC環境の違い(WindowsとMac)の場合や、Windows相互間であってもOSやソフトのバージョンの違いによって起こる場合があります。そこで、できれば資料を作成したPCを配信時の投影・表示用PCとしておくのが最善です(また環境に依存されないPDFなどに資料を変換しておく)。

配信は準備が9割

配信機材の中でもトラブルが起きやすいPCにスポットを当てましたが、PCに限らず本番と同じ機材でテストを行うことを強くおすすめします。また、トラブル時の代替機器もテストを行っておきましょう。
配信スタッフの間で「トラブルは機材で起こる、配信は準備が9割」という格言があります。配信スタッフとしっかり連携し、テストを怠らないで準備を行うべきである、という教訓の意味を込めた言葉としていつも念頭においています。

会場の設備が使用できるかを確認しよう

光回線のことや会場の常設機材(もしくはレンタル機材)については会場としっかりやり取りを行って把握しておくことが大事です。サイト閲覧のみでは把握ができないので会場の機材を確認するという意味でもロケハンを行う必要があります。このロケハンには技術スタッフも同席するのが基本となります。会場の設備が配信でも使用できる機材かどうかが判断できていると、配信会社から持ち込む機材が明確になります。
7.ロケハンをするも参照ください。

大型のスピーカーやモニタ、プロジェクタースクリーンを持ち込むと搬入の時間・コスト・人員が膨らみます。会場にあるものをなるべく使っていこう、ということですね。

実際、ほとんどの会場がプロジェクターとスクリーンは常設しているので会場のものを使用することが多いです。しかし音響機器は会場によりまちまち。会場用と配信用とでハウリングが起こるのを防ぐためそれぞれ音声を調整して送る仕組みが必要なので、ある程度スペックの高い機材が必要になります。よってハイブリッド配信ではミキサーやマイクは持ち込みのことも多くなります。音響周りは要注意。専門性も高いので必ず技術スタッフに確認してもらいましょう。

特に大型のものはなるべく会場の設備を使用するとコストが削減できます

特に大型のものはなるべく会場の設備を使用するとコストが削減できます

会場に光回線が無い場合

会場によっては有線の光回線がない場合もあります。この場合にはネット回線をひける機器である「回線ルーター」を持ち込むと解決できることがあります。こちらを使用すると安定した回線になるので心強いですが、携帯回線が届く場所でしか使用できないことや、屋内や地方では速度が遅くなることもあり完璧ではありません。
基本的には、光回線が設備されている会場を検討しましょう。

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