
前編に引き続き、製版部の七つ道具をご紹介していきます。残る道具は3つ。きっと弊社製版部の特徴が色濃く出たチョイスになるに違いありません。早速聞いていきましょう!
弊社製版部の神髄、ここにあり!
インタビュアー(以下「イ」):引き続き、製版部の七つ道具を教えてください! 残りは3つですね。
製版部員I(以下「I」):そうですね、ここからは弊社の製版部の特徴がわかるような道具を挙げていきましょう。
製版部員G(以下「G」):うちの特徴といえば、とにかく仕事の効率化と標準化に注力していることですね。ここでいう標準化というのは、仕事を最適な手順で進められるように仕事のルールや流れをきちんと決めていくことを指します。
製版部員H(以下「H」):標準化を行うことでどんな仕事にもルールや流れが決まっていくから、同じ仕事ならだれが作業しても同じ成果物が生まれ、ミスやトラブルも起きにくくなる。結果として仕事が効率化するんです。
I:ここから紹介する道具は効率化・標準化に絡んだものが多くなってくると思います。
イ:なるほど……それでは五つ目の道具をお願いします!
五つ目の道具は……?
G:はい。Wikiですね。

イ:うぃき……Wikipediaのwikiですか?
H:ええ。製版部で行うさまざまな作業について、手順や進め方を細かくこのwikiに記録して記事として共有しています。まさに標準化の道具ですね。
I:ものによっては作業中の画面のスクリーンショットなども掲載してありますよね。とにかく作業手順を詳細に記録することで、wikiを読んだ人がみんな同じように作業できるわけです。
イ:こういった詳細なマニュアルがあると、製版部に新しく入った人にもうれしいですね。
G:それこそはじめての人でもwikiを読めば作業できるのが理想で、それを目指していますから。

イ:記事に書いた内容は都度更新したりしているんですか?
H:うーん、更新が絶対ないことはないんですけど、あまり頻繁にされることはないと思います。更新するとしたら作業内容が変わるときですけど、そんなに頻繁に変わるものでもないので。
G:逆に言えば、頻繁に変わることがないからこそwikiに記録して文章で共有するのが容易だし、最適でもありますね!
番外編再び!?
H:そういえば前編でプレートセッターを挙げましたよね。効率化・標準化の文脈から外れますけど、あわせて使うものとしてプレートストッカーがあってもいいかもしれません。製版部員のほとんどはウマと呼んでいますけど。

I:名前の通り、プレートをストックしておく道具です。プレートができてから印刷部に渡すまでにはちょっとクールタイムがあるので、その間にこれにプレートを掛けておくんですよ。
G:印刷部に版を渡すときにもこのまま、ストッカーごと渡していますね。半ば印刷部の道具でもあるのかも。
イ:なるほど。ところでどうしてウマと呼ばれているんでしょう?
I:それが……実はわからないんです(笑)。
H:わたしもわかりません。みんなそう呼んでいるけれど、理由は聞いたことないですね。
G:ちゃんとした由来がある業界用語なのか、それともうちだけのローカルな名前なのか……?
イ:なんと……またの機会に調べてみても面白そうですね!
6つ目の道具は……?
イ:それでは6つ目の道具をお願いします。
G:はい。作業札です。

H:これは作業に付随するイレギュラー要素が一目でわかるようにするためのツールですね。もともと製版部では一つ一つの仕事の帳票や原稿なんかを仕事ごとにボックスに入れて管理していたんですが、この作業札を一緒にボックスに入れておくことで目印にしていたんです。
G:たとえば右にある「機密/個人情報」の札は、この仕事が機密情報あるいは個人情報を含むものだと示しています。どちらもデータや支給物を厳重に管理しないといけないお仕事になるので、通常の仕事と取り違えないように気を付けないといけません。
イ:名簿や社内報など、確かに情報セキュリティの大事なお仕事は結構ありますよね。
G:ええ。厳重なものになると仕事のフローも特殊なプロセスを踏んだり、上司に立ち会ってもらったりもします。この札を見るとちょっと背筋が引き締まりますね。
I:「荷物あり」の札がかかっていたら、ボックスとは別で何か支給物があるということになりますね。ボックスに入りきらないような大きな見本だったり、大量の原稿だったり……
イ:なるほど、ほかにも種類はありますか?
I:うーん、少し前まではもっといろんな札があったんですけど、最近は使わなくなってきましたね。というのも、実はこの作業札が担ってきた機能を別の道具に置き換えつつあるんですよ。
イ:おや、別の道具ということは?
H:はい。七つ道具最後の一つです……
最後の道具は……?
I:七つ道具のラストは、生産管理板です。

イ:管理板というと……予定表のようなものでしょうか?
I:いや、ただの予定表ではありませんよ! これはいってしまえば製版部の仕事の交通整理をしてくれるツールです。
G:生産管理板は製版部全体に今どんな仕事が入っているのかを示しています。ただ仕事が並んでいるだけではなくて、納期の早いものや優先順位の高いものがわかるように視覚的にも工夫されているんです。管理板を見れば今どの仕事を一番に進めるべきなのかが一目瞭然です。
H:さらにさきほどの作業札の機能も内包していて、仕事それぞれについてどんなイレギュラー要素があるのかも管理板にまとまっています。だから、作業札が果たしていた役割のかなりはこちらに移行しましたね。
G:この管理板の登場で製版部は大きく変わりましたよ。以前は進捗管理担当の人間がいて、各仕事の優先順位をその人が都度判断していました。でも今は管理板を見ればすぐにわかるように整理されていますから、時間のロスがかなり削減されたと感じますね。人の判断によるブレもなくなりますから、もちろん標準化にもつながります。
I:情報が管理板一つに集約されているというのも利便性として大きいですね。1日400件ほどの仕事をさばいている環境だと、あっちを見てこっちを見て、といったちょっとした手間でもいわゆるチリツモで結構な時間になりますし。これも効率化ポイントの一つだと思います。
イ:なるほど……今回の締めくくりにふさわしい道具なんですね!
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イ:これで七つ道具がそろいましたね、ご協力ありがとうございます! 最後に、道具全般について製版部独自のルールや気を付けていることなどはありますか?
I:うーん、デスク関連のルールですかね。実は製版部員のほとんどは自分の席というものがないんです。
H:自分の持っている仕事に必要なソフトやアプリがインストールされているパソコンのある席に座る、というシステムになっていますよね。仕事が一つ終わって別の仕事に取り掛かるときは別の席に移動することもあります。

G:むしろずっと同じ席で仕事をするのはあまり推奨されていませんよね。
イ:ということは、デスクまわりを自分の好みにカスタマイズしたりするのは……
I:ダメです。
イ:なるほど、面白いルールですね。本日はありがとうございました!
G・H・I:ありがとうございました!
まとめ
製版部の七つ道具もそろいましたね!仕事のあらゆるポイントで標準化・効率化をめざす弊社製版部のひたむきさが、道具のチョイスから感じられるのではないでしょうか。
残る製造部門は製本部のみとなりました。印刷物のフィニッシュを飾る部門なだけに期待が高まります……。こちらもぜひお楽しみに!