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ゴージャスで多彩に。金のカラーバリエーション。

光を反射して強いインパクトを持つ「金色」は『派手』な演出の代表格(個人の感想です)。装飾に使えば異彩を放ちます。
金色とはそもそも「金」という金属の色の名称のことですが、金のアクセサリーを付けていれば「ゴージャス」・「煌びやか」な印象が強いように、金色が配色されたプロダクトは際立ったインパクトを放ちますよね。
金色の持つ強烈な表現力は、そんなイメージを実現するのに重宝され、実際には金属ではない繊維や紙、塗料やインキといった、モノづくりの素材にも姿を変えて利用されているわけです。
印刷物においては、使用される用紙自体を金色にしたり、紙面デザインに金色を配することで、“いわゆる紙製品”とは一線を画す効果を狙った、高価で煌びやかな表現を実現するのに活用されています。
ここでは、液状であるインキで金色を表現する「金インキ」を紹介していきたいと思います。

高価・派手 ~『金』の魅力とその表現力~

『金』にもバリエーションがある

実際の金には純度というものがあるのは皆さんご存知ですよね。
純金、22K、18K・・・と純度に応じて価値にも違いがありますが、色にも違いがあります。
その要因は、純金以外の金には、銀・銅・パラジウムといった成分が混ざっており、混ざっている成分によって、赤味のある色や黄色みの強い色が存在します。純度の他にも、アクセサリーとして強度を持たせるためにチタンで表面加工した製品であったり、あえて他の金属を加えて合金素材にしたりと、一口に「金」という製品でも様々な材質や色が存在するわけです。

印刷表現における『金色』の幅

印刷表現においても「金色」を使った表現はニーズがあります。印刷はインキを使って色を表現するので、金色のインキを使用します。「金色のインキ」は一種だけではなく、いわゆる『カラーゴールド』の再現をするために色のバリエーションが存在します。大きく分けると「赤口金」と「青口金」という二系統があり、表現したい色に応じてインキを使い分けることができるようになっています。
「待て待て、赤と青の二系統しか無いのかい?」と突っ込みたくなりませんか?
その理由はのちほど触れていきましょう。

印刷の色表現のキホン ~インキを知る~

カラー印刷のキホンは4色である

印刷について詳しい方はご存知でしょうが、カラー印刷する場合、シアン(C:藍)・マゼンタ(M:紅)・イエロー(Y:黄)という3色のインキを使って色を表現しています。CとMを掛け合わせてブルー(青)、MとYを掛け合わせてレッド(赤)、YとCを掛け合わせてグリーン(緑)、三つを均等に混ぜるとグレーといったように、基本の3色の組み合わせで様々な色を表現するのがカラー印刷の一般的な方式です。そこに文字や線など「黒い」部分が必要なので、ブラック(Bk:墨)インキを加え、4色で印刷するのが一般的です。基本となる4色は一般的な顔料で作られています。

もっと多彩な色表現を・・・特色インキ

一方、この4色で表現できない色は特色(特練り)インキと呼ばれるインキを使うことで表現が可能になります。複数の顔料を混ぜた特色インキを始め、合成顔料を混ぜた特徴的なインキも存在しています。
一般の顔料の他に蛍光顔料を入れた蛍光インキでは蛍光カラー表現ができ、パール顔料を入れたパールインキは反射する角度で見た目が変わるような表現が可能です。
メタリックな色(質感)も、基本の4色ではもちろん再現できませんので、メタリック系インキも特色インキに分類されます。メタリック感を出すインキには金属顔料が使用されていて、大別すると金インキと銀インキといったものが存在します。どちらも金属成分の顔料が入っており、金属の質感を表現したい場合に活用できるものです。金インキは主に銅成分と亜鉛成分を混ぜ合わせてメタリック感を実現しています。アルミニウム成分に黄インキを混ぜて製造されるものもあり、退色性や耐薬品性などの特性にも違いがあったりするのですが、今回の記事では「金インキ」としてまとめて扱わせていただきます。

色々使うと、もちろんお高くなります

余談ですが、基本の4色インキに特色インキを5色目、6色目として追加することで、デザイン表現の幅を広げていくことができます。もちろん、使うインキが増えれば増えるだけお値段も高くなってしまうので、好きなだけ足すというわけにはいかないのが実際のところでしょうか。
そういったわけで、インキ数(お値段)を押さえつつも、特徴的な表現をしたい場合に特色インキを利用することがほとんどと言えます。

金色を使いこなせ ~カラーバリエーション~

「金の二系統」のメカニズム

だいぶ話が逸れてしまいましたが、ここで「なぜ金インキの色は二系統?」の疑問に戻ります。
金インキには銅成分と亜鉛成分の顔料を混ぜていると前述しました。金インキ中の銅成分の比率を多くすると赤みが、銅成分の比率が少なくなると青みが出てきます。この成分比率によるバリエーションのため、金インキの色系統は「赤口」と「青口」の二系統に分かれるという仕組みなのです。
とはいえ、インキメーカーはこのメカニズムを利用することで、同じ金色の中にもカラーバリエーションを持たせ、デザイン(好み)に応じた色の選択肢を増やしているともいえますね。
誤解の無いように少し付け足すと、ここでいう二系統というのは、印刷の刷色(インキ)を「金」と指定した場合の『金インキ』の系統を指しています。他にも緑系など異なるメタリックカラーのインキも存在しますが、それぞれ金インキと別の顔料や成分を配合して製造したものとなり、色名としては「金」と呼んでいないことを前提としています。

デザインの幅を広げる、金インキのバリエーション

そんな赤口金と青口金ですが、どのように使い分けられるのか、一例をあげさせていただきます。
赤みのある金インキは、ローズゴールドやピンクゴールドといった表現に適しており、温かみのあるデザインやビビッドなデザインに取り入れられやすいようです。逆に、青みのある金インキは、赤っぽさや、いかにも金(黄金色)といった色より、煌びやかさの中にもクールさを持たせたいといった表現に適しているといえます。

各社のカラーチップなどを参考に、あなたの『推しの金色』を探してみてはいかがでしょうか?

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