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日本が世界に誇る大企業、DIC(ディーアイシー)社をご存知でしょうか。旧社名が「大日本インキ製造」といえば、どんな会社なのかは察しがつく方も多いのでは。今では印刷のインキだけではなく、カラーフィルターの顔料などで世界中に展開するファインケミカルメーカーです。
そのDICの関連会社、DICグラフィックスが「DIC DIGITAL COLOR GUIDE」というアプリケーションを無償で提供しています。このアプリを使って自分の顔色はどんな色をしているのか見てみたいと思います。

まずは己を知ろう!

昔の偉い方が「彼を知り己を知れば百戦殆からず」と申しておりました。

鏡越しで見ている自分の顔と写真に写っている顔が違うという経験はありませんか。諸説あるようですが、一つには鏡越しで見る場合、自分の「ありたい姿」に脳内補正をかけていることがあると聞いたことがあります。
自分を客観的に捉えろとか言われますが、そう簡単にできたら苦労はしません。そんなわけで今回は、アプリ「DIC DIGITAL COLOR GUIDE」(以下DDCG)を使って、自分の「顔色」を知りたいと思います。

自分の「顔色」を知るための方法は以下の通りです。
● 複数日に渡って、撮影をする
● 同じ部屋、光源の下で撮影する
● 机の白でホワイトバランスを取るよう補正する
● 眉間のやや上の部分で測定する
● DIC番号が異なる場合は、CMYK値で標準を決めて、偏差から近似値を決める

実際にやってみると、同じカメラ、同じ光源の下でも微妙に色合いは変わってしまいます。でも私の会社には色のプロがいますので、その辺はかなり助かりました。Adobe Photoshopを使い、机の白を基準に補正をかけてもらいました。もちろん顔色に関しては一切手を加えていません。5日間撮影した結果をご覧ください。

1日目

7月●日 月曜日 晴れ

撮影初日とあって、表情がやや緊張しています。その影響なのか顔色も少し暗い感じがします。
それと後から気付いたのですが、ワイシャツのボタンが一つ外れていました。だらしない感じになってしまったのが悔やまれます。

2日目

7月●日 火曜日 晴れ

この日は前日の反省を活かし、ワイシャツのボタンを確認してから撮影しました。ただいつものクセでアゴが上がってしまいました。うーん、イマイチですね。

3日目

7月●日 水曜日 晴れ

こなれてきた感がでてきた3日目、この日は若々しくストライプのシャツにしてみました。指なんか組んでしまって少し偉そうな感じですね。

4日目

7月●日 木曜日 曇り

もはや王者の貫禄すら感じられる4日目。表情も柔らかい感じで特筆すべきことはありません。

5日目

7月●日 金曜日 晴れ

いよいよ最終日。撮影に協力してくれた同僚のH君に感謝です。無事に最終日を迎えられた安堵からなのか、若干白髪が増えた気がしますが、おそらく気のせいでしょう。

ついに「顔色」が判明

実測、しかしこれがなかなか難しい

測定箇所を揃えるのが大変。。。

色のプロ・同僚H君に机の白を基準とした補正をお願いして、あがってきた写真を「DDCG」で計測してみました。ただこれがなかなか難しい。指で画面をタップすると拡大鏡表示になるのですが、結構ブレて定まりません。

5枚全ての画像をピンポイントで同じ場所を指定するのに悪戦苦闘すること小一時間。どうにか測定した結果を表にしてみました。

1日目が【DIC C74】、2日目と5日目が【DIC C69】、3日目と4日目が【DIC N961】という結果に。ちなみに番号の前に付く「C」や「N」はそれぞれ「中国の伝統色」「日本の伝統色」を表しています。
それぞれカテゴリーが違う色が選ばれてしまったので、印刷インキの割合を表すCMYK値で見ていくことにしました。(表の下段参照)

こう見ると1日目だけだと少し暗い感じになりそうなので、この日は緊張のせいで顔が紅潮したと判断し、除外することしました。そうすると【DIC C69】と【DIC N961】の一騎打ちとなるのですが、この二つの色のCMYK値の平均を取ると「 C:7   M:50   Y:45   K:0 」となることが分かりました。それぞれの数値の偏差を比較すると【DIC C69】は「C:-2、Y:-2」、【DIC N961】は「C:+1、Y:+2」となるため、僅差ではありますが私の「顔色」は【DIC N961】が一番近い色ということにしたいと思います。

【DIC N961】は日本の伝統色で「朱華(はねず)」とも呼ばれる色のようです。万葉集の中にも登場する伝統ある由緒正しき色のようです。ただ「DDCG」の説明を読むと「くすんだ黄赤」と表現されていました。個人的には桃のような肌色だと思っていただけに「くすんだ」との表現にショックを受けました。
また同時に過去に受診した皮膚科での医者とのやり取りを思い出しました。

医者「はい、これ。」(パンフレットを渡される)
私「なんですかコレ?」
医者「あなたの病気、そこに書いてあるから読んでおいて」
私「は?で、この病気、治るんですか?」
医者「無理かな。よっぽど体質でも変わらない限り続くでしょうね。あなた、自分でも気付いていると思うけど赤ら顔気味だから、脂性なんですよ。薬つけ続けてください。」

ちゃんと病状の説明はしない上に、人のことを「赤ら顔」や「脂性」などとずけずけと言ってきて、かなり頭にきた記憶です。一瞬、「オレは赤ら顔の脂性の朱華ヤロウだな」と思わずつぶやいてしまいましたが、ふと「CMYK値」に目を向けるとM値は50%そこそこであることに気づきました。Mとは赤系のインキでマゼンタと呼ばれています。「マゼンタが50%ならそんなに赤くないじゃん」と自分に言いかせてやっと平静を取り戻しました。
え、その後、その病院に通ったのか?ですか?もちろん二度と行くことは無かったですね。

せっかく自分の「顔色」は【DIC N961】(朱華)と分かったので、今後は体調や心情に変化があると「顔色」はどう変わるのか調べてみたいと思います。それでは、また!

参照

DICグラフィックス株式会社 DICデジタルカラーガイド
https://www.dic-graphics.co.jp/products/dcguide/

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