継 日経印刷CSRアクティブレポート2016.Jan Vol.2
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紙の未来はもっともっとひろがる 「世界の紙の伝播マップ」を著した紙史研究の大家、ダード・ハンターは、その著書『和紙のすばらしさ』において、驚きとともに和紙を右頁のように表現している。 和紙の品質。それをささえる工業技術。そして生活の隅々にまで入り込んだ文化との融合性も、その評価の対象であったはずだ。彼の言葉が、70年以上の時を経て、まるで予言であったかのように、今、和紙は様々な奇跡を起こそうとしている。 洗濯のできない宇宙船内での長期着用には不可欠となる、抗菌 ・消臭性という和紙の特性を利用した宇宙服。和紙のもつハリとしなやかさで、従来と比べ高音から低音域までクリアで広がりのあるサウンドを実現したスピーカー。さらに電気を通さず、薄くて丈夫な和紙が、現在すでに世界中で広くコンデンサや電池などに使われるようになっている。和紙は紙の概念を超えて、さらに広がろうとしている。 紙の未来はもっともっとひろがる。 紙は私たちに 常に発想への刺激を与え続けてくれる。ダード・ハンター(Dard Hunter 1886-1966)紙史研究の大家。新聞印刷業に携わる父を持ち、オーストリアの印刷学校に留学。アメリカに帰国し、自分の工房を建て、自ら著した本を出版する工芸家となった。19~20世紀にかけて、欧米はもちろん、アジア、アフリカ、日本など40か国以上の紙郷を研究し、世界の定見となっている「世界の紙の伝播マップ」を著す。また1933年には日本、朝鮮、中国を現地調査し、その記録『和紙のすばらしさ』を発表する。※写真は和紙のイメージ画像です。5 日経印刷CSRアクティブレポート

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