日経印刷 CSRレポート 2016
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今回の組織変更によって、 働く人にはどんなメリットがありますか?最も重視したのは、生産管理部で働く人の質の向上です。「私はわかりません」と自分の業務以外をシャットアウトしてしまえば、その人の仕事の幅がそこまでになってしまいます。そして「それは自分の役割じゃない」と言う人が多かったのは、逆に言うと会社側がそういう役割作ってしまったからではないか、効率優先で人の成長まで考慮できていなかったのではないかと考えました。多少強引ではありましたが、一人ひとりの仕事の幅を広げてあげて、日経印刷という組織全体の中で「自分が出来ることが何か」を自ら考える機会を作ってあげたかった。結果として、何か問題が発生した時でも自分で考え判断できる人が増えればいいという思いもあります。会社やお客様にとっては、 どのような効果を期待していますか?生産統轄課は、営業の課ごとに対応するチームを2つに分けています。それぞれの課によってカラー印刷が多い、写真集系の仕事が多い、あるいは色味にシビアであるとか、複雑な仕様を要求されるなどさまざまな特徴があります。お客様の業種や扱う製品・サービスなどによっても印刷に求める品質が異なりますから、そうしたお客様ごとの特徴を理解したうえで印刷や製本、物流などを手配する。そうした日々の行動が、ゆくゆくはお客様から信頼される品質に繋がっていくのではないかと考えています。目に見えてきた効果として、今まで品質チェックの担当者だけが担っていた協力会社から提出される印刷サンプル検査も全員で行うようにしたため、協力会社ごとの印刷品質を自分で判断するようになり、その結果、誰もが自信をもって印刷依頼ができるようになりました。また、若い社員を中心に「こうした方がさらにいいのではないか」という自発的な提案が出てくるようになったことも喜ばしい効果だと思っています。一人のモチベーションが上がると課全体のモチベーションが上がるのだということを実感しています。これまでの自己評価と今後の展望を 教えてください。自分の専門業務に関してはそれぞれがプロですから、持っているノウハウをいかに周りの人に伝えるかが課題でした。日常業務の中で教えられることは教え合い、さらに実務とは別に印刷や製本、規格などに関する知識習得のための勉強会も毎週実施するなど、良いサイクルができつつあります。しかし現時点では、組織としての業務効率化までは見込めていません。以前よりも業務のスピートが各段に上がったかと問われれば、まだその段階ではないと思っています。目標としては、生産管理部の社員が営業に同行してお客様のところへ直接伺うくらいになりたいという意気込みで取り組んでいきたいと考えていますが、現実として日々の仕事に追われ、なかなか実行に移せていないのが現状です。今回の組織変更による人の成長を、いかに「お客様から信頼される品質」につなげていくことができるか、それこそが今後の大きな課題だと思っています。2016年1月に生産管理部内に新設された生産統轄課では、営業の課ごとに担当のチームをつくり、仕事の内容を理解した上で、さまざまな手配を課員の誰もが担えるようになることを目指しています。主な目的は社員の成長ですが、最終的には、全員がお客様の求める品質や仕事の内容を理解することで、誰が手配しても変わらぬ品質を維持していくというねらいもあります。今回の組織変更に込められた思いを、キーマンである生産管理部部長の羽生田恒寛が語ります。7

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